ミネソタって何が有名なの?と聞くと、まず最初に出てくるのが湖の数の多さ。一万個もあるんだよ!と言われても、ふーん。。。という感じですよね(実際には素晴らしいです)。次に寒さ。これも、へえー。。。って感じですよね(実際に寒いです)。そしてその次くらいに出てくるかもしれないのが「小麦粉」。またパッとしない微妙なもの。。。しかも麦を作っているわけではなく、あくまでも粉の方。
今回はこのミネソタ三大名物の一つである小麦粉について学ぶべく、ミネアポリスにあるミルシティミュージアム(Mill City Museum)に行ってきました。
まずは売店横にあるチケットカウンターでチケットを購入し、目玉であるフラワータワーの時間指定チケットをもらいましょう。このチケットは数に限りがあるので、遅い時間に行くともらえないこともあるようです。
ミルシティ(Mill City)=小麦粉製粉の街
ミネアポリスはミネソタ州最大の都市です。この街の別名がミルシティ。その名の通り、製粉産業で大変栄えたそうです。
その昔、神父のヘネピンさんがミシシッピ川にある滝を「発見」して、セントアンソニー滝と命名しました。ミネアポリスが発展するにつれて、この滝の水力は上流から運ばれた材木をカットしたり、小麦粉を挽くのに使われたりしました。この頃、貴重な水力を末永く使うために、滝を保護するための整備工事が行われました。それが、現在見られる味気ないコンクリートで固められた(滝とは呼び難い)川の段差です。
はい、これが滝です(笑)
このミルシティミュージアムの元である製粉所のウォッシュバーン・A・ミルは1874年に建てられました。後のゼネラルミルズです。
ゼネラルミルズ(General Mills)はミネソタに本社を置く食品会社です。アメリカではシリアルや小麦粉、クラッカー等で絶大な勢力を誇っています。
スーパーの小麦粉売り場。手前に見えるGold Medalの名は、この博物館にもでかでかと掲げられています。奥に見えるPillsburyもゼネラルミルズ。
日本ではとんがりコーンやハーゲンダッツを展開しているみたいです。恥ずかしながら、ミネソタに来るまでハーゲンダッツは北欧の会社だと思いこんでいました(笑)
工場では、小麦粉を作っているだけあって前が見えなくなるほどの量の粉が建物中を舞っており、それを吸い込んで体を壊す人もいたそうです。そして4年後の1878年、そんな大量の粉に火が移り、跡形もなくなるくらいの大爆発が起きました。
2年後の1880には同じ地に工場が再建され、その後1930年ころまではミネアポリスは世界の小麦製粉の中心地でした。そして1965年にこの工場は閉鎖します。
メデタシメデタシと思いきや、1991年に放置されていたビルに何者かが侵入し、火災が発生!これにより、現在見られるあの崩れた外壁ができたそうです。今見るとなんとも味がありますが、悲しい理由ですね。。
…と、長々と書きましたが、この博物館に行けば、なんとたったの19分でこの製粉所の歴史、そしてミネアポリス全体の歴史が学べちゃうんです!
博物館に入館したら、まずはこの映画を見るのがおすすめです。これで展示品を見るのがもっと面白くなりますよ。
映画はかなり早口のミネソタ英語で冗談言いまくりな感じですが、映像を見ているだけでも楽しいです。
ギャラリーで思いを馳せる
前述の通り、火災のせいで多くのものが消失してしまい当時の機器はほぼ残っていないのですが、ギャラリーでは上の写真のようなマシンや働いていた人のインタビューを見ることができます。面白かったのは、当時はグルテンがあればあるほど重宝されていたこと。グルテンがたくさんあるからパンがこんなにふっくら焼ける!みたいなポスターがあったのですが、今はグルテンフリーが人気の時代。。不思議なものです。
ギャラリーの奥には、セントアンソニーの水力を実際に体感できるコーナーがあります。
手を突っ込んで水をホールドしたり、堤防を動かして水の流れや強さを変えたり。大人でもなるほど!と思えます。
フラワータワーの手前にあるBaking Labからはクッキーの甘い匂いがしましたが、私が行ったときにはクッキーはすでに食べられてしまった後のようでした(泣)
博物館のハイライト、フラワータワーへ
ドキドキしながら巨大エレベーターに乗り込みます。この工場は製粉工程によって階が分かれていて、実際に小麦粉もエレベーターで上下に運ばれていました。そんなわけで、このアトラクションは各階に止まりながらその工程と当時の様子を教えてくれます。ちょっと遊園地のような気分。
そして、最上階では素晴らしい景色が待っています!
廃墟マニア必見 Ruin Courtyard
この博物館の象徴である火災で崩れた外壁。冬の間は入れませんが、それ以外の期間は無料で入ることができます。夏にはライブミュージックなんかも聞けます。
小麦を運ぶ列車
かなり大きな工場だっただけあって、昔は小麦粉の運搬のために電車が直接工場内まで入ってきていたそうです。この列車小屋では現在ファーマーズマーケットやその他イケてるイベント(去年はここでラーメンフェスをやっていました)が開催されています。
※交通情報
自家用車で来る場合、駐車場は近くのパーキングランプ(私が行った日は運悪くイベント料金で1日20ドル。。)かパーキングメーター(最大2時間まで)しかありません。可能なら、バスやライトレールで来るのがおすすめです。
いかがでしたか。小麦粉って微妙だな〜なんて思ってましたが、小麦粉産業がなければミネアポリスがここまで発展することはなかったかもしれません。ミルシティミュージアムは小麦粉の博物館であるとともにミネアポリスの歴史博物館でもあるように感じました。学べるだけでなく、体験型のアトラクションもたくさんあるので、大人だけでなくお子さんにもおすすめですよ。